タイ人の英語能力とその独特のクセについて

タイ

タイでは、小学校での英語教育が2011年より完全義務化されましたが、残念ながらその成果は上がっているとは到底いえない状況です。

2015年のスウェーデンの教育機関のEFエデュケーション・ファースによる調査によると、タイは70カ国中62位と、東南アジアではカンボジアの69位に次ぐ低さに甘んじています。30位の日本も決してレベルが高いとはいえませんが、実際日本人と比較してみてもタイ人の英語の能力の低さを日常生活の中で感じることは事実です。

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タイ人の英語能力が低い理由

日本と比較して、タイには圧倒的に英語圏からの観光客の訪問者数が多く、その分英語ネイティブの人たちと触れ合う機会も多いので、やる気になれば実践的な学習機会はいくらでもあるはずです。

それにも関わらず、タイ人の英語能力が向上しないのは、日本人と同様にそのメンタリティーにも原因がありそうです。

タイ人は基本的に非常にシャイで、義務教育で英語を学んで、能力的には片言の英語が話せるような人でも、いざ英語ネイティブの人を目の前にすると、恥ずかしがって口を閉ざしてしまうケースが多く、われわれ日本人の英会話能力が向上しない原因と共通しているといってよいでしょう。

また、タイの小学校の英語の教員の英語能力に疑問符を付ける外国人の親御さんも少なくありません。

英語教員の条件には、特にTOEICなどの条件はないので、日本の英検三級以下のレベルの教員が少なくないと聞きます。

実際、子供の英語教育を真剣に考えている海外の人達は、かなり学費が高いインターナショナルスクールに通わせている人も多くいます。

タイの小学校での英語教育が成果を上げられないもう一つの理由としては、国語、つまりタイ語の習得の難しさがあると考えられます。日本と比べると、漢字がない分、文字の数そのものは少ないのですが、タイ語には、声調(イントネーション)が5つあり、声調が違うと意味が違う単語になります。

単語に付ける声調記号や同音でも別の文字が複数あったり、文法的にも例外規則が多く、習得するのが非常に難しい言語といえます。

外国人向けの公式タイ語テストで、タイの企業が外国人を雇用する際によく条件として記載されている「ポーホック」という、タイ語で「小学6年生」を意味する試験がありますが、語学学校に1年間真面目に通って、かなりの量のホームワークをこなしても、試験に落ちる外国人は少なくありません。

つまり、タイの子供達は、小学校の間はタイ語の学習に精一杯で、他の教科、ましてや他の言語の学習にさけるパワーなどないのが現実かもしれません。

タイ人の英語発音の「癖」

最後にタイ人の英語の発音の「癖」について触れておきましょう。

バンコクの街角で、英国人がネイティブイングリッシュの発音でタイ人に話しかけて、まったく通じない様子を目にしたりしますが、意外とネイティブじゃない外国人の英語のほうがすんなり通じたりします。

実は、タイ人の英語のイントネーションは独特のものがあり、「英単語の語尾を上げる」のがその特徴なのです。

英語をかなり学習したタイ人以外の人々には、英語の単語をわかってもらおうとすると、意識して英単語の語尾を上げて発音する必要があります。タイを観光で訪れた際には、憶えておくととても役立つTIPSです。

そしてもう一つのTIPSは、タイ人英語の特徴として、英単語の語尾の“L” の発音が、“N” に変化するという法則も憶えておくとよいでしょう。

わかりやすい例として、“Apple Computer” をタイ人が発音すると、“Appn Computer(アップン・コンピューター)” となります。もちろんそれぞれの語尾は上げ調子です。耳に慣れてくるとなぜかわいく感じるタイ人英語の不思議な法則です。