耳を鍛える!フォネミック・アウェアネス理論を応用しよう

リスニング

移民の国、アメリカ合衆国。多くの人は英語を母語として話しますが、移民が多く、スペイン語や中国語を始め英語を話さない人がアメリカに住んでいることは珍しくありません。しかし、英語を話さない環境で育っていても、子どもは英語を必要とする学校へ通いますので、必然的に英語を学ばなければなりません。

アメリカの小学校では移民の子どもたちに英語を教える際、話し言葉の音から教え、読み書きに入るのだそうです。その音を教える方法として取り入れられているのが、フォネミック・アウェアネス理論です。

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フォネミック・アウェアネスとは

日本でも注目され始め、小学生や幼児向けの英語教室などでは取り扱われ始めている「フォニックス」(phonics、音声学)という英語学習法がありますが、その「フォニックス」の一段階前が「フォネミック・アウェアネス」(phonemic awareness、音素認識)です。

フォニックスは文字と発音の結びつきや関係を学ぶ方法で、フォネミック・アウェアネスは音そのものを学び、段階的に音と音をつなげたり混ぜたりして語に近づけていく学習方法です。

フォネミック・アウェアネスの最大のポイントは、音。

英語で使われる音を学ぶことで、その後の文字や単語、つづり(フォニックス)の習得に続いていきます。

筆者がここで言いたいのは、アメリカの小学校で、移民の子どもたちがどのように英語を習得しているかではありません。英語が母語ではなく、自宅では日本語を話して育った私たちは、アメリカで暮らす移民の子どもたちと同じように英語は「外国語」であり、彼らと同じように学習する立場です。私たちにとって、英語の音に慣れるというのは非常に重要な点でもあるのです。つまり、フォネミック・アウェアネス理論の考え方や学習法は私たちの英語学習に応用可能であると考えられるのです。

参考サイト

日本語にない英語の音に慣れるために

英語は、日本語にない音がたくさん使われています。これがリスニング学習の壁であり、発音・訛りの壁となっています。

LとRの違いや、子音で終わる語の最後の子音の部分など、違いがわからなかったり、聞こえなかったり、聞き取りづらかったり言いづらかったりするのは、私たちが日本語にない音を判別するのに慣れていないからです。英語の音をひとつひとつ理解することで、日本語にはない音に気づけるようになってきます。

リスニング力アップのため、毎日英語を聞くことは大切な学習ですが、いきなり早口の英語を聞いても理解できません。まずはゆっくりスピードから始めるのがコツです。それは、音がひとつひとつ聞き取りやすいからです。

発音矯正にも役立つ!?

音素を学ぶことは発音矯正にも役にたつでしょう。母音の使い分けや、RやTHのような音をうまく発音できないのは自分の口が英語の発音をするのに慣れていないからです。慣れていないうえに、母語の発音方法が邪魔をしているため、音の違いがわかりづらいものです。

フォネミック・アウェアネス理論を応用して音素に気づき、ひとつひとつ丁寧に発音する訓練をすることで、音の違いがわかると単語や文が聞き取れるようになり、違いに注意して発音できるようになります。そしてだんだん英語がはっきりと聞き取れるようになります。

あくまでも要素を取り入れるだけでいい

私たちは学校ですでに様々な英語を学んできているので、フォネミック・アウェアネスの理論通りに一歩ずつ進む必要はありません。耳が慣れてくれば、わざわざステップをひとつひとつ踏んで学習する必要はないでしょう。また、別の勉強方法と同時進行することで頭の中で整理されていくこともあるでしょう。

フォネミック・アウェアネスもフォニックスも、現在は子どもへの英語教育に使われている理論・方法ですが、高校生以上の英語学習者でも、これらを応用すると単語の書き取り力もリスニング力も効率的にアップすることが期待できます。

フォネミック・アウェアネスの理論を使って、ご自身の英語力を鍛えてみてはいかがでしょうか。