中級・上級者向け!ヒアリングの壁にぶち当たったときの克服法

英語のイントネーションを確認

ある程度語彙力も力がついて文法も理解が進んでいるのに、なかなか英語が聞き取れない。

聞き取りに限界を感じたら、「急がばまわれ」ですが、この方法が確実に壁を乗り越えさせてくれます。

なかなか聞き取れないと思っていても、よく考えてみれば短い文や簡単な構文の文章なら聞き取れて、理解できている方も多いのではないでしょうか。あるレベルに到達した後、いっこうにヒアリングの力が向上しないと感じるなら、もはや耳(聞き取り)の問題ではなくなっているのかもしれません。

つまり、そのまま頭から英文の意味を理解するテクニックが身についていないだけかもしれないのです。そこで、いったん聞き取る練習から離れて「読む」訓練に戻ってみましょう。

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文の頭から英文の意味を理解するとは?

「そのまま頭から英文の意味を理解する」とは、いっさい和訳せずに内容をつかむということです。「感覚的に言っている意味がわかる」といった感じです。

例えば、”Look at that dog!”という一文を聞いた瞬間に何を言われているか理解できているなら、それはすでに和訳せずとも理解できているということです。それなら、さらに構文が複雑なものでも読みながら意味が理解できるか確認してみましょう。

教材の選び方

まずは、手元にある英文教材を読み直してみましょう。中学・高校の英語の教科書の長文で確認するもよし、英検の長文読解の文章などもよいでしょう。

その際の読み方ですが、まずは一段落を途中で止めずに声に出して読んでみてください。きれいな日本語にする必要はありません。

何が書かれていたか、内容がわかりますか?特に問題なければ、そのレベルの構文はすでに聞きながら理解できると判断できます。

8文~10文のうち、3分の1は問題なく理解でき、3分の1は単語の意味さえ知っていれば理解できるかもしくはもう一度ゆっくり読めばわかるくらいのものが教材として適しています。また、題材も自分が興味を持てるものを読むのが長続きするコツということは言うまでもありません。

以下は、レベル別に選べる書籍として参考になります。

参考書籍

訳さずに文頭から理解していくーその練習方法

1.2~3文か一段落は止まらずに読み進める

初めのうちは、どうしても訳して理解しようとしてしまうかもしれません。その癖をとるために、少なくとも2~3文か一段落を読み通して、何を言っているか読みながら意味をつかんでみましょう。

この練習は、間違わずに読めるかとか引っかからずに読めるかということは問題ではありません。あくまでも、文章を読みながら同時に意味をつかめているかに意識を向けます。

2.内容が想像できる間は、意味のわからない単語が出てきても辞書を引いたりしない

文章の中に知らない単語や表現が出てきても、周りの文章から全体的な意味がわかるようならそのまま引き続き読み続けましょう。そうすることで、前後から意味を推測する力も身につきます。

実際の聞き取りのときも、わからないところでいちいち立ち止まっては、その後の内容を聞き逃してしまいます。多少わからなくても、全体を聞き続けて理解できる部分の意味をつかんでいく訓練になるのです。

読書

3.読み進めていよいよ内容がわからなくなったら、その原因をつきとめる

わからないところを飛ばして読み進んでいくうちに、どうにも内容がつかめなくなる時点がくることがあるでしょう。

その原因は2つあります。一つはその文章を理解するために核となる単語の意味を知らない場合です。もう一つは、構文そのものが理解できていない場合です。

自分が理解できない原因がどこにあるかを自覚して、解決しましょう。単語を知らなければ意味を調べればよいです。構文がよくわかっていなかったら、その読み解き方を文章の頭から分解して、前から順番に断片的に意味をとらえる練習をしましょう。

以下は、2005年にスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチの一部です(全文はスタンフォード大学の公式ページに掲載されています)。

これを例に使って練習してみましょう。

“I’m pretty sure none of this would have happened if I hadn’t been fired from Apple. It was awful tasting medicine, but I guess the patient needed it. Sometimes life hits you in the head with a brick. Don’t lose faith. I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You’ve got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven’t found it yet, keep looking. Don’t settle. As with all matters of the heart, you’ll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don’t settle.”

スタンフォード大学公式サイト

初めの4文は立ち止まらずに読み進み、「アップルを首になったからこそ体験できた。人生で頭を殴られたようなひどい事が起こっても、信念をすてるな」と言っていることはつかみやすいのではないでしょうか?

さてその次の一文、「I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did.」は、1回さらりと読んで「?」となる人もいるかもしれませんね。「that」が1文に何度も登場するので、少しわかりにくく感じるでしょう。では、この文の前の方から意味を掴んで行きましょう。「I’m convinced that (私は次のことを確信した)the only thing that(ただ一つのこと) kept me going was that (私を前進させ続けたものは)I loved what I did.(自分が行っていたことが好きだったということだ)」

次に、「And that is as true for your work as it is for your lovers.」はどうでしょうか?「And that is as true for your work (そしてあなたの仕事に対してもそれは真実だし)as it is for your lovers.(愛する相手についてもそうだ)」このように、区切りのよいところで断片的に意味をつかみ、部分的なそれらの情報をつなげていけば、内容の要点はつかめるはずです。

残りについては、どのような断片にすればよいかだけ「/(スラッシュ)」で記します。

“Your work is going to fill a large part of your life,/ and the only way to be truly satisfied is / to do what / you believe is great work. And the only way to do great work is / to love what you do. If you haven’t found it yet,/ keep looking. Don’t settle. As with all matters of the heart,/ you’ll know / when you find it. And, like any great relationship,/ it just gets better and better / as the years roll on. So keep looking until you find it. Don’t settle.”

この読み方を続けることによって、ヒアリングの時も聞いた順に意味を捕えていけるようになるでしょう。