日本人はインターナショナル・イングリッシュ(英語)を話そう

堂々と英語を話す女性

日本であふれかえる美しい英会話の音声は所謂アメリカン・イングリッシュです。ほとんどの英会話教材は言うに及ばず、アメリカのテレビ局のオンエアー、ハリウッド映画の音声、メジャーリーグの実況放送、はては洋楽のボーカルに至るまで、英語といえば、アメリカ人の発音が正しいと認識せざるを得ない環境にあると言えます。

よくある奇妙な現象として、英会話能力は甚だ低いにもかかわらず、スポット・スポットの発音だけはやたらとアメリカンな人を見かけます。「英会話を特訓しました」なんていう芸能人の方なんかに多いですね。

これは、日本とアメリカの関係、アメリカの影響力の大きさを考えると無理からぬことです。また、日本の英語教育の世界でも、アメリカ人っぽい、きれいな発音こそが正しい英会話であるという考え方のもと、細部の発音とかイントネーションに至るまで、そういうスペックにこだわった教育がなされているように思います。

ところが、世界では、アメリカ以外のいろいろな国の人たちが、実にいろいろなクセのある英語を堂々と話しています。テレビで見かける、国際会議などでの非英語圏の人たちの発言や、スポーツ選手のインタビューなどが典型的な例ですが、アメリカ人ではない外国人の話す英語は、我々日本人が学校教育や英会話教材などで学ぶ「正しい文法」や「正確な発音」(アメリカ英語のスタンダードという意味で)とは、ほど遠いものがあります。

しかしながら、彼らは決して臆せず、堂々と自国訛りの英語で発言しています。しかも、彼らが言いたいことは全く問題なくしっかり伝わっていることの方が多いようです。

コミュニケーション手段としては、先にあげた、発音だけで中味のない日本人の英会話などより、はるかに有効に機能していると言えます。

こうした、主に非英語圏の人たちの間で話される英語を「インターナショナル・イングリッシュ」と呼ぶことがあります。日本人が目指す英会話は、まさにこのインターナショナル英会話ではないかと思います。

カタカナ発音でも、文法が怪しくても、時に単語のぶつ切りになっても、そこを過度に気にするあまり寡黙になるのなら、気にすることなく、堂々と話したほうがはるかにいいのです。

日本にいるカタコト日本語の外国人の人たちが良きお手本でしょう。モンゴル人のお相撲さんたちの日本語の流暢さには驚くばかりですが、サッカーや野球の世界にも似たようなケースがありますし、そこまで流暢でなくても、飲食業や建設業などの世界で、来日間もない外国人の人たちが、失敗を恐れず堂々と日本語を話している姿をよく見かけます。

我々日本人の英会話の目指す姿も、まさしくあれではないかと思います。アメリカ人のようにかっこよくペラペラと英語を話すのは、ごく一部の英会話エリート?の人たちや、帰国子女の皆さんにお任せしておけばよいのです。

その他大多数の自分のような市民英会話学習者は、堂々と、泥臭く、カタカナ・サウンドの「インターナショナル・イングリッシュ」を話せばよいのです。

インターナショナル・イングリッシュの勉強法は、何も変わったことをする必要はないと思います。ただ発想を変えて、きれいに話す、かっこよく話すという意識を捨てることが大事ではないかと思います。

個人的には非英語圏の人、特に東南アジア各国の人たちが話す英語の音声は、日本人がマネをする価値のある生きた教材ではないかと感じます。特にシンガポール、フィリピン、マレーシア、インドといった国々の、例えば政治家が話すスピーチの類などは良い教材だと思います。また英語の勉強に行く留学先としても、これらの国々は検討に値すると思います。