ジャパングリッシュOK!グローバル化時代の英会話術
アメリカ人やアメリカ帰国子女がペラペラとしゃべる英語に憧れを持ってる人って多いですよね。それで、どうしても彼らのように発音できない自分のジャパングリッシュを気に病んでしまう…。
実は、ふだん英語を使って仕事をしている筆者もそうだったりします。
でも、そんなふうに卑屈になるの、もうやめませんか?
グローバル化時代の世界では、英語はただの第一共通言語。意思疎通のためのひとつのツールにすぎません。
「正しい英語」も「間違った英語」もない、通じればそれでいいんです!
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英語話者のうち非ネイティブ割合はなんと95%
まずは、今どれだけ多様な英語が話されているのかについて知りましょう。次のデータを見てください。
デイヴィッド・グラッドル氏によると、2010年時点で世界の英語学習者は20億人に達し、その中でネイティブの世界人口に占める割合はたったの5%、残り95%は非ネイティブ、つまりグロービッシュ予備軍ということになります。もはや英語はネイティブだけの言語ではなくなっており、非ネイティブ同士が英語(グロービッシュ)でコミュニケーションする機会が格段に増えているのが現状です。
―日系Bizアカデミーより
どうですか?
非ネイティブの英語話者の割合、想像以上に高かったのではないでしょうか。95%ともなると、「ほとんど全部」と言ってもいいぐらいの割合ですよね。
冒頭で筆者が「英語はただの第一共通言語」と書いたのにも、納得していただけるのではないかと思います。
その環境で最も「使える英語」を見極められる人が勝ち
英語も多様化していることを知ったところで、次はあなたの英語環境について考えてみましょう。
過去記事(知らないと損!? 日本人が英語読解力を身につけるべき理由)でも書きましたように、いま強いのは、「自分の環境で最も必要な英語はどんなものか」を知っている人です。
あなたはどこで何をしているどんな人で、どんな英会話の力を必要としているのでしょうか?あなたが英会話をする相手はどういう人でしょうか?
それを一度しっかり考えてみましょう。
「きれいなアメリカ英語」での英会話が必要なケースって、今は意外と少ないんです。
たとえば、同じ海外駐在でも、英語を母国語としない国に行くという人。
特に短めの駐在だという場合、やむなくほとんど英語のみで過ごすという人も多そうです。だって、いくら日本人に英会話の苦手な人が多いからといって、「各国の現地語のほうがずっと得意」という状態で行く人はさすがに少ないですもんね。
たとえば、日本の外資系企業で働くという人。
外資系だからといって、社内のみんながペラペラのアメリカ英語をしゃべるわけではありません。IT系なら最近はインド系の人も多いでしょう。その他、世界の地域問わず、英語を母国語としない国出身の人たちが、それぞれの母国語訛りの英語を話すこともありますよね。
英語多様化の時代、「その場で必要な英語」を見極められる人が重宝されるのです。
アメリカ英語しか見ないことのリスク
いまの時代、英会話するにあたってアメリカ英語しか想定していないと、コミュニケーションにいろいろと支障が出てくることがあります。
- 自分のしゃべり慣れた英語を相手が聴き取れない
- 相手の英語が自分の聞き慣れた英語と違うのでほとんど聴き取れない
こういった状況が思ったよりずっと多く出てくるんです!あとで実例を挙げますね。
いくら「正しい」言葉でも、相手に通じない言葉に、意味なんてあるのでしょうか?
「きれいなアメリカ英語」はたしかにカッコイイ。英語を母語とする人にはたしかに通じやすいです。でも、グローバル世界においては、これがいつも100%「勝ち」なわけではない、ということ、覚えておいてくださいね。
「○○訛りの英語」という考え方は捨てよう
さいきん日本でも、ほんとうにいろいろな国の人が働くようになってきました。グローバル化が進行し、英語がどんどん広く普及しているからこそ、いろいろな国のいろいろな英語に対応できる力が、ますます必要とされています。
まずは、ある人のお国独特のアクセントを「訛り」ととらえるのをやめてみましょう。世界の国や地域の数だけ、「○○の英語」があるのだと考えてみて。
たとえば私たちは、自分たちの話す英語を「日本語訛りの英語」と感じて、ときに恥ずかしがったりしますよね。
でもグローバル化した世界では、いわゆるジャパングリッシュのほうが通じやすい、という状況もままあります(あとで詳しく解説します)。
また、ネイティブ発音でないながらにいっしょうけんめい話す英語は、場合によってはむしろ好印象を与えることもあるんです。
「ハタチエイゴ学習法」で有名なHAL氏は、ブログでこう書いています。
あなたが語るべき内容を持っている、そして英語の発音が最低限理解可能な水準であれば人々はあなたの英語に耳を傾けます。
そしてまた、あなた自身が尊敬される人であれば「発音が悪い」ことが一層尊敬を高めることに役立ちます。すなわち、「発音が悪い」ということは「成人してから努力して英語を学習した証である」ということだからです。
―ハタチエイゴより
私たちは、「日本英語」にもっと自信をもっていいのだと思います。
そして、たとえば「中国英語」「シンガポール英語」「インド英語」「韓国英語」といったように、ほかの国の人の英語にも一目おくときがきているのではないでしょうか。
相手の国の言葉や文化を知る態度をもとう
ここまでで、アメリカ英語だけが「英語」なのではない、ということがわかっていただけたと思います。ではこの、お国の数だけある英語、どうやって通じさせていきましょうか?
筆者がすすめるのは、「相手の国の言葉や文化をちょっとでも知る」ことです。
たとえば、筆者には仕事の関係で、タイ人の人たちと英語で話さなければならない環境に身を置いていたことがありました。
最初は本当にお互いに何を言っているのかわからなくて聞き違いなどが多発し、ちょっと途方に暮れました。でも、こんなに通じないならいっそタイ語を、と思ってタイ語を少しだけ勉強してみたら…。
なんと、かなり通じやすくなったんです。相変わらず互いに英語だけでしゃべっているのに、です。
最初はどういうことかわからなかったのですが、あとから思い至りました。著者は、タイ語のアクセントの傾向、発音の傾向などについて知ったことにより、タイ英語の傾向が推測できるようになったのですね。
相手の母語について少しでも知ることが、英語でのコミュニケーションをずっと円滑にしてくれるのです。
通じる英会話術を身につけるポイント
グローバル化時代において通じる英会話をするポイントは、いつでも相手のお国言葉の傾向を頭の片隅に置いておくことです。
相手の人の母語では、次の2点を中心に押さえておきましょう。
- どんなアクセント傾向があるのか
- どんな音を発音しないのか
こうすると、以下のことが推測しやすくなります。
- 彼らがどのように「訛る」ことが多いか
- 彼らがどのように「訛った」英語なら聴き取りやすいか
以下、例として、筆者の経験したタイ英語をひとつ挙げておきます。これを参考に、ぜひあなたの相手の人の英語についてカンを身につけてください。
たとえば、「card」。
タイ語は英語と違って、アクセントではなく声調(声の高低)を使う言語です。どちらかというと中国語に近いんですね。
結果どうなるかというと、こうなります。
- アメリカ英語:「かぁ↓~どぅ」(頭にアクセント、語尾が弱くなる)
- タイ英語:「かぁ↓~ど↑ぉー」(単語の末尾まではっきり発音し、むしろ末尾にアクセント感がくる)
ときにいわゆるジャパングリッシュのほうが通じる場合があるのも納得ですね。
このように、英語を母語としない人との英会話では、カタカナ英語のほうがむしろ通じたり、いわゆる「訛った」英語のほうがスムーズだったりすることがあるのです。覚えておきましょう。
おうちで気軽に世界各国の英語を学習できる時代
規則を勉強したにしても、じっさいに聴いてみないことにはなんとも…って思いますよね。そんな人に役立つ、各国の英語を収録した音声教材などがいろいろ出てるんです。
教材によって収録されている英語や語彙レベルが違うので、自分に合ったものを選んでみてくださいね。
究極の英語リスニング
究極の英語リスニングWORLDWIDE―Standard Vocabulary List1-6 6000語レベルで世界に |
こちらは中級レベルの人向けの各国英語リスニング教材。ストーリー仕立てで飽きずに聴けるのがウリのようです。
英米加豪の他、中国、インド、ロシア、ドイツ、フランス、ブラジルの全10カ国の人が互いに異なった国の相手と会話しており、1つとして同じ国の組み合わせはありません!英国のコックニー、米国南部の発音も収録しているので、実際は12通りの英語が聞かれます。
―Amazon.co.jpのレビューより
究極のビジネス英語リスニング
こちらは上級者の人向けの教材。上と同じ出版社が出しています。
アメリカ、イギリス、中国、インド、カタール、タイ、ベトナムなどの英語が聞けます。
両方とも「スピードがやや遅い」という意見もありますが、これだけ多様な国の英語がまとめて聞ける教材は貴重。再生スピードの変更の方法はいろいろあるので、「○○ファイル 再生スピード 変更」などのキーワードで検索してみてください。
ほかにも、上記には収録されていない国の英語教材、初級レベルの語彙で通じさせるグロービッシュ教材、各国の英語について分析した本などもたくさん出ています。「○○(国名) 英語」「グロービッシュ 初級」などで検索してみましょう。
各国英語のリスニングのトレーニングができるiPhoneアプリも出ています。
こんな動画もありますよ。30種類の英語が聴けます。
家にいながらにしてこれだけの種類の英語が聴けるのは、それこそグローバル化時代ならではですね。いろいろなものを賢く使っていきましょう。
ジャパングリッシュユーザーでもグローバル人材になれる!
ここまでで、「ああ、いろんな英語があっていいんだな」と思っていただけたでしょうか?
たとえ発音がジャパングリッシュでも、いろいろな国の言葉と文化を尊重でき、コミュニケーションがとれるようになったら、あなたは周囲よりも一歩先を行くグローバル人材です。
「正しい英語」にこだわるのは今すぐやめて、目の前の言葉や文化の壁をどんどん乗り越えていきましょう!
過去記事(知らないと損!? 日本人が英語読解力を身につけるべき理由)でも冒頭でも書きましたが、日本人が英語を上達するカギは、まずは自分の生活スタイルに必要な英語を見極めることにあります。
やみくもにアメリカ風の英語発音・英会話にこだわるのをやめた瞬間、あなたは「使える英語」への直通チケットを手にし、グローバル化の波に乗り始めるのです。
やっぱりアメリカ英語での英会話が必要!ネイティブスピーカーばかりと話をしなきゃいけない!という方の英会話術に関しては、また別記事でお届けしていきます。お楽しみに。
あなたの英語ライフがより充実したものになるよう、お祈りしています。